2020/05/08 19:56
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アンデス山脈を越えた、ここプカルパは
都心部のリマとは気候がガラッと変わり、12月とは考え難い蒸し暑さだった。
ヤリナコチャの船着場から、信用度の低い今にも沈みそうなボートに乗り込み
今回の旅の最大の目的である、サンフランシスコビレッジへと向かう。
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目の前に広がるアマゾンの熱帯雨林と青空、
今まで見たこともない野生の動物や川の鳥たちがそこら中にいる。
超自然の中の灼熱と川のしぶきに感動し、涙が出てきた。
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村の船着場が見えると、子供たちが水遊びをしていた。
みんな物怖じせず、無邪気な表情で挨拶してくる。
メインストリートらしき道に出ると、ポツポツと人がいて、座って談笑している。
片言で「スイピノ」と目的の集落の場所を尋ねると、方角を教えてくれた。
途中、急に大雨に見舞われ、無銭のタクシーで真逆の場所に連れていかれたり、散々だったが
そのあとにヒッチハイクした車の運転手が、
たまたまそのスイピノのマエストロ(シャーマン)のファミリーだったっていう奇跡的な展開。
この旅は、何か不思議な力によって導かれているのかもしれない。
この巡り合わせに感謝すると同時に、その宿命を受け入れた。
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シャーマンの口ヘルさんに事務所的な場所へ案内され、受付を済ませた。
とりあえず、2泊3日1セレモニー、米ドルにして90$くらい。
金額は前もって聞いていたので納得できた。
セレモニー(儀式)は2回くらい参加しようか、この時も悩んでいたが、
物足りなかった時にまた日数含め追加交渉しようと思った。
ここスイピノでは、セレモニーは土日を除き1日置きに行われ、
空いた日には各自で、プラントのサウナに入ったり、
煙草の葉を煎じた飲み物を飲んだりと、セッティングのための時間に使う。
そのあと案内された小屋には、蚊帳張りのベッドと枕元に小さなテーブルが一つ
それとロウソクの束と蚊取り線香とマッチのセットを頂いた。
トイレやシャワーも水が流れ、機能している。
元々、池とか最悪水たまりで体を洗う覚悟をしていたくらいだったから、
この設備にはテンションが上がった。
じつは、ここに来るまで行きの機内から丸2日近く、セッションに向けて
水とガムしか口にしていない状態で、さすがに空腹が限界に達していた。
集落で知り合った日本人のケンタロウ君に聞くと、そこまでハードな節制はせずに
食事もしている様子だったので、儀式の前日だし夜以降食べなければ平気かなと
自分の中で折り合いをつけ、少しだけ食べることにした。(ハーフサイズのカロリーメイト3箱程)
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食事を終えると、眠気が襲ってきた。
夕方から、24時頃までぐっすり眠った。
そのあとは、朝までうとうと夢を見ながら、寝ているのか起きているのか
分からないような状態だったけど、心身ともにリラックスして横になっていた。
このアマゾンの非日常的な環境がそうさせているのかも知れない。
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朝起きると、シャワーに入った。
シャワーからは水しか出なかったが、池よりかは2000倍マシだし、
すべてが初めての経験だったから、楽しくて気持ち良かった。
外は相変わらずの、熱帯雨林特有の雨が降ったり止んだりの不安定っぷり。
ごろごろしたり、日記を書いたり、のんびりしていたらすぐに夕方になった。
夜が近づき、高まる緊張と高揚感の中で、
気持ちを落ち着かせ、物事をポジティブに考えることに努めた。
アヤワス力はそういった心のセッティングが大事なのらしい。
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20時手前、ブランケットと水と携帯を持ってけんたろう君のコテージへ行ってみた。
彼はテラスに腰かけ、キセルで妙な葉っぱを吸っていた。
奥のコテージから日本人のたかし君と、名前を忘れたけど韓国人の男の人が出てきて、
4人で、セレモニーの場所へと暗闇の中歩いて行った。
到着した場所は、ドーム型の広い体育館のような建物で、
室内は壁に面して布団がサークル状に敷いてあり、掛け布団や嘔吐用の桶が置かれていた。
灯りは中央にある祭壇のようなお供え物の場所にあるだけ。
人種、性別を問わず20人程の人が集まっていた。
布団の上でごろごろしながら、セレモニーが始まるのを静かに待った。
暗闇の中、手持ちライトの灯りとアヤワス力の瓶を手にしたシャーマンがやってきて
小さなグラスにアヤワス力を注いで回る。
自分もグラスを手渡され、濁った黄土色のアヤワス力がグラス半分くらい注がれ、
何も考えず一気に飲み干した。後味の悪さたるや、、
その後、しばらく静寂が続いた。
時間にして20分くらい経ったころ、体の内側からソワソワしだした。
アヤワス力がジワジワと全身に巡っているのを感じ始め、
その内、じっとしていられなくなり身じろぎしだす。
もうろうとした意識の中、突然幾何学模様のビジョンが見えた。
目をつむって見ているのか、目を開けたまま見ているのか、わからない。
その間10分くらいだったと思う。
やがてシャーマンが自分の目の前に来て腰を下ろし、何かを唱え始めた。
途端に涙が出てきて止まらなくなり、
両手で顔を塞いでも、涙があふれ出てくる。
言いようのない、大きな愛の波を全身全霊で感じた。
生まれて初めて、自分の想像をはるかに超える大きな愛のエネルギーに
自分は包まれているんだと知った。
シャーマンは立ち上がり指先で空を切り、水のようなものを頭に吹きかけてくれた。
涙がまたあふれ出して止まらない。
両手を合わせ感謝の気持ちを込めて、ありがとうと言った。何度も何度も。
このまま真っすぐ、家族や仲間や敬愛する人たちに会いに行きたいと思った。
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シャーマンが唄う「イカロ」という言霊に、精神は支配され解放された。
外の草木のざわめく音や、遠くからコウモリがやって来る音、
普段だとまず聴こえないような音が聴こえる。
極限のサイケデリックも峠を越えてきたころ、吐き気を催し、
次の瞬間、腹の底から嗚咽とともに体内の'毒'をアヤワス力と一緒に吐き出した。
ほとんど、まともに食べていなかったのに何度も吐いた。
吐ききって落ち着いてくると、冷静になり
頭で考えていることが現実に起こりそうで恐くなってきた。
客観的に見たら、だいぶ情緒不安定だが、、それでも必死に自分の意識と戦っていた。
5時間くらいした後で、徐々に意識も落ち着いてきたが、
呼吸はまだ乱れていて、とても寝付ける状態じゃない。
眠れないのがつらくなり、長い夜がうっとおしく思う。
まさかの終盤にバッドに入りかけたけど、なんとか持ち直した。
やがて朝になり外も明るくなっていたが、雨が一向に降り止まない。
若干降りがゆるまったタイミングで、ひとりでコテージに戻った。
戻るとすぐに、残してあったカロリーメイトを水で流し込むと、気分が一気に落ち着いた。
食べる前からそうだったげど、体の内側からクリーンになっている感覚があり、
それは日本に戻ってからもしばらく感じていた。
当初、アヤワス力は飲んだあとに続けてやるか判断するつもりで、
実際飲んで2時間くらい経ったピークの時、もうこの1回で終わりにしたいと心底思った。
何ものにも代え難い貴重な経験だったことは間違いない。
何年後かして、また行ってみたいって思うかもしれないし、思わないかもしれない。
ただ、今言えることは
今回の経験によって、生き方に対しての考え方が大きく変わった。
この歳になって、これほどの体験が出来ることってそう無いと思うから
自分はツイてたな~と思う。
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知り合ったばかりの日本人のたかし君が、
セレモニー翌日の10時頃帰るという話を聞いていたので、
それに便乗して一緒に帰ることにした。
外は変わらずのどしゃ降りだったが、それでもすぐに帰りたかった。
9時頃には雨も幾分落ち着いてきたので、たかし君と話し出発することにした。
この3日間、凄まじくスピリチュアルで濃密な3日間だった。
シャーマンと自分に関わった人達とアマゾンの大自然に最大級の感謝を。
そして、アヤワス力よ ありがとう。
Save the nature
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